平成13年度(2001) ※講師所蔵は当時のものです
第16回特別展 美しき北の文様 −the brilliant northern design−
【会 期】 平成13年7月19日(木)〜9月26日(水)
【会 場】 北方民族博物館特別展示室
【主 催】 北海道立北方民族博物館
【観覧料】 一般300(240)円 高校生・大学生100(80)円 小学生・中学生50(30)円 ※( )内は10名以上の団体料金。 常設展示とのセット券あります。
【趣旨・内容】 北方に暮らす人びとの衣服や道具の多くには、さまざまな意味がこめられた文様が美しくほどこされています。そしてその文様は、たとえば北欧のサミのように、同じ民族内でも地域によってずいぶん異なっていることもあれば、北海道からサハリン、アムール流域にかけての地域のように民族をこえて、渦巻きを主体にした文様が使われていることもあります。しかし、その中で文様を施す手法を丁寧に見てゆくと、各民族の特徴が表れています。北アメリカの北西海岸インディアンの間では社会的な地位を示すのに文様が非常に重要な意味を持っていました。またアサバスカインディアンでは、文様を施す素材がヤマアラシの針(クイル)から、交易によってもたらされたガラス製のビーズを使うようになるという変化もおきています。
今回の特別展では、広く北方地域を対象に、文様の特徴や意味、装飾手法や歴史を紹介し、美しい北の文様世界へとご案内いたします。
リーフレットpdf
【展示資料】ナーナイの花嫁衣装、サミのトナカイ角細工、ウイルタの白樺樹皮製品、アサバスカインディアンのモカシンなど
【関連事業】
講演会 「美しき北の文様」 7月28日 講師:井上敏明氏(城西国際大学)、大村敬一氏(大阪大学)、津田命子氏(北海道立ウタリ総合センター)
講習会「ポンサラニプ」(※プは小さく表記)づくり 7月29日 講師:津田命子氏
博物館クラブ「北の文様いろいろ」 8月11日
解説会 8月12日
講習会「ウイルタ刺繍入門」 8月22日 北川アイ子氏(資料館ジャッカ・ドフニ館長)
講習会「サミのひも織り」
講習会「アイヌ刺繍入門」 9月8日 西田香代子氏(北海道ウタリ協会優秀工芸師)
【協力】 資料館ジャッカ・ドフニ ペリーベイ調査団 計良智子氏 原ひろ子氏 Amur Art Museum
展示担当 笹倉いる美、中田篤
企画展 北の古代世界 −擦文文化の頃−
【会 期】 平成14年2月5日(火)〜3月22日(金)
【会 場】 北方民族博物館特別展示室
【主 催】 北海道立北方民族博物館
【観覧料】 無料
【趣旨・内容】
擦文の由来:擦文文化は7世紀から12,13世紀にかけて、北海道を中心に展開した文化です。擦文土器は、「木片」によって模様がつけられています。この「木片の刷毛目のあと=擦痕」から、擦文文化と呼ばれるようになります。
生業:擦文文化の人びとは、北海道から東北地方北部までの内陸部や沿岸部など、様々な場所で生活していました。これは、ほぼ同じ時期にオホーツク海沿岸で海棲生物の獲得を中心に生活していたオホーツク文化の人びとと対照的です。オホーツク文化の人びとは、沿岸部から離れることがないのに対し、擦文文化の日とびとは狩猟、漁撈、栽培などの技術を持っていたため、さまざまな所で生活することができたようです。
交易:これらの生活技術は、本州との交易にも関係します。擦文文化では鉄製利器が数多く利用されていました。これらの鉄製品は本州産のものが多く、擦文文化の人びとは、狩猟・漁撈で得た毛皮類やサケなどを鉄製品と交換していたのでしょう。また、この過程で、栽培などの技術や、壁に作りつけのカマドをもつ住居の構造などが、本州より伝わってきたと考えられます。
擦文文化からアイヌ文化へ: 擦文文化の遺跡は、遺物が少ないことで有名です。しかしごくたまに出土する木製品のなかには、後のアイヌ文化で使用されるものと非常によく似た製品があります。これらの製品を比較することで、擦文文化からアイヌ文化へと変化してゆく過程を見ることができます。
本企画展では、続縄文文化から移り変わり、本州文化やオホーツク文化と接触しながら、アイヌ文化へとつながってゆく擦文文化について紹介します。
【関連事業】
講座 「北の古代世界 −擦文文化の頃−」 講師:瀬川拓郎氏(旭川市博物館)、中田裕香氏(財団法人埋蔵文化財センター)
展示担当 角達之助、渡部裕
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